Simplify



単純化

灘高2022

ある容器に$~15\%~$の食塩水が$~200~\text{g}~$入っている。この容器から$~x~\text{g}~$の食塩水を取り出し,そのかわりに$~x~\text{g}~$の水を加えた。さらに続けて,この容器から$~2x~\text{g}~$の食塩水を取り出し,そのかわりに$~2x~\text{g}~$の水を加えた。このとき,食塩水に含まれる食塩の質量を$~x~$を用いて表しなさい。この食塩水の濃度が$~7.2\%~$であるとき,$x~$を求めなさい。

濃度の表を作り,問題文の順に値を書き込んでいく。
「水を加えたとき,食塩の量は変わらない」という条件から,
食塩の量の方程式を2式つくることができる。

空欄の加水時の濃度を$~y~$と置き,食塩の二元一次連立方程式をたてる。

「数学的考え方」,「科学的考え方」に共通した単純化

この表からわかることは,空欄に未知数として$~y~$と置いたことにより,
縦1列ごと「食塩=食塩水$\times$濃度」という独立した単純な問題になっていることです。

「食塩水の取り出しのとき濃度は変わらない。」
「水を加えたとき,食塩の量は変わらない。」
この2つの条件から問題文を書き換える。

容器Aに$~15\%~$の食塩水が$~~~200~\text{g}~$入っている。
容器Bに$~15\%~$の食塩水が$~(200-x)~\text{g}~$入っている。
容器Cに$~~y~\%~$の食塩水が$~~~200~\text{g}~$入っている。
容器Dに$~~y~\%~$の食塩水が$~(200-2x)~\text{g}~$入っている。
容器Eに$~7.2\%~$の食塩水が$~(200)~\text{g}~$入っている。
容器Bと容器Cの食塩の量は同じ。
容器Dと容器Eの食塩の量は同じ。
この仮定のとき,$x~$を求めなさい。

仮定からもうひとつわかることは,
(容器Bの食塩の量)=(容器Cの食塩の量)
(容器Dの食塩の量)=(容器Eの食塩の量)
なので,食塩の量の単位は任意に選んでもよいということ。
一般的には食塩の量の単位として$~(\text{g})~$を選ぶが,この場合,$(\%)$は100分の1を表す単位なので,食塩の欄には「食塩水の値$\times$濃度の値」に$\frac{1}{~100~}$を掛けなければならなく,間違いやすくなる。

食塩水$~(\text{g})\times$濃度$(1/100)=$食塩$(\text{g}/100)$
であるので,単位として$~(\text{g}/100)~$を選べば,食塩の欄には「食塩水の値$\times$濃度の値」の計算結果を直接書くことができる。

「数学的考え方」,「科学的考え方」の根本にある単純化は,応用問題に触れることで学習できます。