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「ずるい中学数学」無料講座

単純化で数学応用問題を解く

 

物事は全て、出来る限り単純にすべきだ」アインシュタイン
数学の本質は単純化」スタンリー・ガダー

注:一二年生は方程式が書けたら問題が解けたと思って読んでください。
いま自力で解ける必要はないので,解答をながめて算数にない数学を感じてください。

数学応用問題は難しいですか?
クラスで1番のあの子はどうしてできるのだろう?
そう思ったことはありませんか?
はっきりいいます。算数の得意な子と同じ考え方でどんなに頑張って勉強しても,数学ができるようにはなりません!頭の構造が違うんです。
数学は算数とは違う「単純化」という強力な武器を持っています。なぜその強力な武器を使わないのでしょうか?「単純化」を会得することで,算数の得意な子と渡り合える力を身につけられるんです。しかも,これから長い人生の中で,この単純化の考え方はいろいろな方面であなたの助けとなることでしょう。

「ずるい中学数学」で学ぶことができる「単純化」は「分割」,「補助要素」,「変形(変換)」の3つです。
「困難は分割せよ」デカルト
補助要素の導入」ジョージ・ポリア
「数学とは,法則と変換の科学」ハウィソン

 

 

困難は分割せよ

 

まずはじめに,分割について学習していきます。
算数では「まるで手品のような巧妙な工夫をしないと,答が出ない問題」が,代数では「苦もなく解ける」(湯川秀樹)

手品師(算数が得意な子)から優位性を奪い,誰にでも問題が解けるよう大衆化を目指すのが代数です。
この代数による大衆化をマニュアル車(算数),オートマ車(数学)に例える人もいます。
わからないわりにとりあえず,文字 $x,y~$を使い先に進む。
この代数的手法の特出した点は問題の分割による単純化にあります。非常に強力な武器ですが,逆に問題文を分割しなければ十分な効果が得られません。

ここで紹介する極力頭を使わない方法は,速さ(m/s)$\times$時間(s)=距離(m) など
$\dfrac{~B~}{A}\times A=B$
が成り立つ文章題のほとんどに当てはまります。

代数の醍醐味を体験するため,難問といわれる食塩水の濃度の問題を使って解説していきます。

食塩水の濃度

方程式を立てるまでの基礎知識は,前後で濃度または量が変わらないという条件と

食塩($\text{g}/100$)=食塩水($\text{g}$)$\times$濃度(%)   だけです。

普通は食塩の量の単位として$~(\text{g})~$を選びますが,その場合,$(\%)~$は$~100$分の$1~$を表す単位なので,食塩の値には「食塩水の値$\times$濃度の値」に$\frac{1}{~100~}$を掛けなければならなく,間違いやすくなります。食塩の量の単位として$~(\text{g}/100)~$を選べば,食塩の値として「食塩水の値$\times$濃度の値」がそのまま使えます。参考書などとは違いますが,パーセント(%)濃度の意味も分かり,慣れてしまえば間違いを減らすことができます。

食塩水の問題でほかに間違いやすいのは,
濃度は,$\dfrac{食塩の量}{水の量}~~$ではなく,$\dfrac{食塩の量}{食塩水の量}=\dfrac{食塩の量}{食塩+水の量}~~$というところです。
クラスの女子生徒の割合を考えると,
$\dfrac{女子生徒数}{男子生徒数}~~$ではなく,$\dfrac{女子生徒数}{女子生徒数+男子生徒数}~~$なので,濃度(割合)の意味を間違いなく覚えられます。

単位として$~(\text{g}/100)~$を選べば,食塩の欄には「食塩水の値$\times$濃度の値」の計算結果を直接書くことができる。

灘中学 2022

濃度が $\square\%$の食塩水が $\square\text{g}$入っている容器に,濃度が$1.9\%$の食塩水$100\text{g}$を加えてよくかき混ぜると,濃度が$3.1\%$になりました。
そのあとに食塩$10\text{g}$を加えてよくかき混ぜると,濃度$5\%$になりました。

中学入試問題としては非常に難しい問題です。
高校入試だったとしても,十分に難しい。
出回っている解答例を見ても理解できる人は少ないのではと思われます。

この問題文を分割して書き換えることで単純化していきます。
数学というよりも国語の書き換え能力です。文章題の書き換えを数多く練習して数学だけでなく国語の能力も鍛えていきましょう。

1.「A 初めの食塩水」,「B 加える食塩水」,「C 混合後の食塩水」,
「D 加える食塩」,「E 最終の食塩水」の5つに分けて考える。
2.「食塩」は「濃度100%の食塩水」と言い換える。
3.混合後の食塩と食塩水の量はそれぞれ混合前の量の和。

分からない値はすべて文字に置き換えて,問題文を分割し単純化してみましょう。
文章の順に書き直すと次のようになります。

容器Aに$~~~x~\%~$の食塩水が$~~~y~\text{g}~$入っている。
容器Bに$~1.9\%~$の食塩水が$100\text{g}~$入っている。
容器Cに$~3.1\%~$の食塩水が$~~~a~\text{g}~$入っている。
容器Dに$100\%~$の食塩が$~~~~~10\text{g}~$入っている。
容器Eに$~~~5~\%~$の食塩水が$~~~b~\text{g}~$入っている。
容器Aと容器Bの食塩水の量の和は容器Cの食塩水の量と同じ。
容器Aと容器Bの食塩の量の和は容器Cの食塩の量と同じ。
容器Cの食塩水の量と容器Dの食塩の量の和は容器Eの食塩水の量と同じ。
容器Cと容器Dの食塩の量の和は容器Eの食塩の量と同じ。
この仮定で,$x,~y~$を求めなさい。

$a=y+100~$,$b=y+100+10~$とすぐわかるのに,なぜ$~a,~b~$を置くのかは,「分割」をはっきりさせるためです。各文章が独立して成り立っています。問題文がきっちり「分割」できていれば,より複雑な問題に当たった時に間違いを少なくできます。文字が増えていやだなと思うより,ちゃんと「分割」できたと思いましょう。

この分割した問題文から方程式を作っていくのですが,もっと簡単な問題で練習してからこの問題へ戻ってくることにしましょう。